援助指針
1.一人ひとりの人権を尊重する
イエス・キリストは常に貧しく弱い立場の人の味方であり、徴税人、らい病患者など世間から忌み嫌われる存在であっても一人の尊い人間として関わられた。
(1)一人ひとりの人権を尊重し、「自己選択の自由と自己決定の自由」の保障に努める。
・一人ひとりの個性を大切にし、個々の能力を最大限、発揮できるように援助する。
・生活のあらゆる場面で「自己選択の自由と自己決定の自由」が保障される。それには自己責任が伴うことを体験を通して学ばせる。
・一人ひとりの年齢と発達に応じて選択肢を提供する。
・一人ひとりが受容され、愛されることを体験し、基本的信頼感が育つように関わる。
(2)一人ひとりの安全を保障し、成長を援助する。
・子どもに対して身体的・精神的苦痛を与えたり、人格を辱めるようなことがあってはならない。
・差別・偏見をなくし、人権の大切さを認識、理解させ、不当を許さない正義感を互いに共有できるようにする。
・一人ひとりを守るための事故・防災のシステムを確立する。
(3)一人ひとりが個人・集団の生活を向上させるため、自由に意見を表明することを保障する。
・子どもからの要望・苦痛について、よく耳を傾け、適切な解決を行う。
・子どもたちが自由に意見を表明できる場を設け、それを支援する。
・外部の人をメンバーに入れた苦情解決システムを機能させる。
(4)集団生活の場において、一人ひとりのプライバシーを尊重する。
・一人ひとりの生活空間、時間、私有物を保障する。
・子どものプライバシーを尊重するとともに、他人のプライバシーを守ることの大切さを学ばせる。
・生活の小集団化を進める。
2.一人ひとりの自立を援助する
イエス・キリストが父母であるヨゼフ、マリアの元から自立するとき、洗礼者ヨハネに洗礼を受け、荒れ野での断食、悪魔の試みに打ち勝ち宣教を開始された。自立には幾多の苦難が立ちはだかるが、イエスはヨゼフ、マリアによって幼少時から温かく育まれた愛の力によって自立していったのである。
(1)一人ひとりの自立支援計画が具体化されるための目標達成に向けたプログラムを作成して援助する。
・長期的展望をもって自立支援を行い、特に家族等との交流がない子どもには種々の機会を通して(例:ボランティアや里親)家庭生活を体験させ、親及び家庭生活のモデルが獲得できるよう援助する。
・良い自己イメージを持てるように、受容的、支持的な関わりを心がける。
・退所後のアフターケアを通して継続的な援助を行う。
(2)社会を生き抜く力を身につけさせるために、種々の社会体験の機会を設け、発達に応じた生活知識、技術等が習得できるよう援助する。
(3)一人ひとりの個性、能力を尊重し、一人ひとりの適正に合った自立が出来るように援助する。
・学力向上を図り、自らの進路に役立てることができるように援助する。
・一人ひとりの子どもの興味、関心を揺さぶり、適正を見極め、個人の願望を確かめさせるように導く。
・学力だけでなく、スポーツ、芸術等、一人ひとりの興味、能力が生かされる場・機会を提供する。
3.一人ひとりの家族との関わりを大切にする
イエス・キリストが家族の愛に包まれて成長したように、「家庭」は子どもの生きる基盤である。「家庭」の再生を祈りながら家族との関わりを大切にする。
(1)家族との情報交換を密にして、子どもに対する共通理解を深め、家族との連携を図る。
・必要に応じて家族面談を行い、家族の要望・苦情に耳を傾け適切な解決を行う。
・施設の規則や学校行事等について家族の理解と協力を得るようにする。
・外出、外泊時の過ごし方をアドバイスする。
(2)家族の生活基盤の整備に可能な限り協力し、家庭機能の回復を支援し、家庭復帰の促進に努める。
・必要に応じて家庭訪問を行う。
・児童相談所や関係機関等との連携・強化を図る。
4.一人ひとりは地域社会の一員である
幼きイエスが地域社会の中で育まれたように、一人ひとりが地域社会の中でかけがえのない存在として認められ、受け容れられ、必要な助けを受けて良き社会人として生きる。
(1)学校、地域活動への参加や行事等の交流を通して、地域住民との関わりを密にし相互理解を深める。
・子どもも職員も地域社会の一員としての自覚を持ち、幼稚園・学校(PTA)、地域(自治会)のメンバーとして活動する。
・職員、子どものボランティア活動を奨励する。
(2)個々の家庭との交流を深め、地域の子どもたちと交友関係が築けるように援助する。
・地域の生活時間と施設の生活時間にずれがないようにする。
・個々の家庭と施設との相互交流を通して、地域の人々から支えられる施設を目指す。
(3)施設の機能や資源を地域に有効に活用できるように努める。
・施設内のスペースを地域に開放し、地域の活動の場として提供する。
・地域の子育て相談に積極的に対応する。